Smoky life in Rochester

Rochester大学にポスドク留学中の日記。膠原病専門。

Sit in & S○it

先々週〜先週にかけて、ロチェスター大学の学生達がキャンパスにテントを張ってプロテストを展開していましたが、5月1日にキャンパス内の講堂にシットインをしました。医学部からは5分ぐらいなので、シットインの様子を見に行きましたが、5-60人ぐらいが講堂前でスピーチしたり踊ったりしていて楽しそうでした。いくつかの大学では警察が突入して大変なことになっていましたが、こちらではセキュリティ要員がそれなりに監視していたものの、なんとか平和な状態が続いていました。結局、その日の夕方に、数日後の職員会議で大学とイスラエルとの経済的関係性についてを議題にあげる(学生達もそれに参加する)という条件で講堂から引き上げることになりました。ところが、その翌々日ぐらいにまた講堂にシットインして、退去して、ということが2回ぐらい続きまして、とうとう本日、大学側が活動に参加していた学生数名を停学処分としました。どこもそうですが、こちらはもうすぐ卒業式なので、大学側もずいぶんピリピリしているようではあります。なんとなく大学側は、物理的な抑圧は避けつつ、部分的に抗議に耳を傾けつつのらりくらりとかわしていく戦略なんじゃないかと思いますが、どうなるでしょうね。

ガザの現場では、ハマスがエジプトとカタールによる停戦案(人質の解放を含む)に合意したというニュースが入ってきていますが、イスラエル側が拒否し、限定的とはいえラファに攻撃を仕掛けています。アメリカは弾薬の輸出停止など、ようやくイスラエルを止めようとする姿勢をオープンにしていますね。大統領選がもうすぐ始めるタイミングなので、これ以上のエスカレートは避けたいのでしょう。こうした状況で、全国の大学生達がこれだけ声を上げているというのは、間違いなく政治に影響を与えているのではないかと推測します。

日本ではあまり知られていないかもしれませんが、今年の3月にアカデミー賞の授賞式があり、外国語映画賞に『関心領域』という映画が選ばれました。これはアウシュヴィッツ収容所の責任者であるナチ高官が、収容所のすぐ隣に家族と住んでいて、その光景を描いた映画です。映画はクソつまらなかったですが、受賞したジョナサン・グレイザーが、スピーチで明確なイスラエル批判をしました。これに対してわりと賛否が分かれていたのですが、当のアウシュヴィッツホロコースト記念館の館長が擁護にまわるなど、良心が残されていることが確認されました。ちなみにグレイザーの発言を猛批判したハンガリーの映画監督がいるのですが、この人が数年前に撮った『サウルの息子』という映画は、ナチの収容所のゾンダーコマンドを描いた映画で、こっちはマジで傑作でした。

特に近況がないので時事問題を適当に書いて終わり。