Smoky life in Rochester

Rochester大学にポスドク留学中の日記。膠原病専門。

バッファロー滞在記(2)

こちらに来てしばらくは、How are you? → Fine, thank you. How are you?とか、Have a nice day → Thank you, you too.とかさえ、いざ急に言われると思いの外言葉が出てこなくて落ち込むことがありましたが、ようやくこの2パターンについてはいつ言われてもパッと出てくるようになってきた気がします。とはいえ、いつ言われてもいいように常に準備してる感じです。この2フレーズに限らず、基本的にいつも次に誰が何を言ってくるかを予想しながら、何を言おうか頭でシミュレーションしながら生活していて、それは自分の神経質な性格から来る悪い習慣なんだろうなぁと思います。

でも、個人的に思うのは、人間、一番嬉しいのは言葉が通じることよりも、ジェスチャーのような言語外のメッセージが伝わったときなんじゃないかということです。先日も、バキュームの蛇口を回すというのがとっさに出てこなくて、ジェスチャーでこっち?と聞いたら相手も同じジェスチャーで応えてくれたりとかありました。自分は海外でも意見交換をしたり深い話がしたいというモチベーションで英語を学んでいますが、本音の本音では、むしろ言語外のコミュニケーションこそが人間らしさの一つなんじゃないかなと。ラボミーティングでも、うまく説明ができなくなって、立ち上がって液晶画面の前まで来て図を指さし始めてからが本番じゃないかと(笑)

昭和の名作に『乱れる』という映画があって、加山雄三先生と高峰秀子さんが共演している映画なのですが、電車の発車ギリギリまで雄三先生が駅でソバを食べてて、車内にいる高峰さんが腕時計をさして(早く!)とせかすと、雄三先生が(待て待て)と手で制するジェスチャーをします。今度は雄三先生が自分のソバを指差して、(姉さんも食う?)と誘いますが、高峰さんがこれまたジェスチャーで断ります。こういうのが素敵なコミュニケーションだと思いますね。

ついでにもう一個書くと(無視して結構w)、2006年の『トゥモローワールド』というSF映画があって、終盤に少女を連れた主人公が迎えの船が来る港を探さないといけないという場面があります。少女の命がかかっているのですが、周りには英語の通じない女性しかいない。何とか港の場所を聞こうとして、とっさに、落ちていた石ころで壁にでっかく錨の絵を描きます。これも感動的でした。

考えてみると、スパイ映画とか、大体ジェスチャーでやり取りする場面があって、楽しいですよね。

 

バッファローなのですが、2日目は12:30の帰りのバスを予約していたので、午前中だけの滞在でした。それで、近くにあるマーティン邸に行きました。これは、日本でも帝国ホテルの設計を手がけたフランク・ロイド・ライトの建築で、バッファローで郵便会社(だったかな?)の社長に成り上がったマーティンさんのお家です。

 

なかなか全景を撮るのが難しい、横に広いお家になっています。煉瓦が、少し明るい色合いで、ローマ帝国とかで使われたようなものらしいです。フランク・ロイド・ライトの建築を見るのは初めてで、特に建築家としての特徴も知らなかったのですが、とにかく横方向への動線を強く意識させる設計になっています。で、ツアーに参加しないと中には入れないことになっていたので、ツアーに参加しましたが、残念ながらこのツアーが11:00開始で、40分ぐらいで泣く泣く途中離脱しました。コンダクターの人がかなり説明好きで、玄関でずいぶん時間かかって、早く中入ってくれ〜と思いながら聞いていましたが、中に入るとこれまた凄い独特の空間で、高級ホテルとも違うし、もちろんタワマンとも違う、上質な時間の流れを感じる良いお家でした。もっといたかったけれども、残念ながら一間見ただけで離脱となりました。

で、結局ですね、帰りのバスが運転手が遅刻してるとかなんとか言って、結局90分以上遅延しまして、普通にツアー最後まで行けたじゃん、と思いました。

なんか別館で帝国ホテルに関する展示を5月までやっているらしいので、近いうちにまた日帰りで行ってみようかと考えています。

 

(今日の一節)

海よ 俺の母よ 大きなその愛よ 

男の虚しさ 懐に抱き寄せて

忘れさせるのさ 安らぎをくれるのだ

Ocean, my mother, what a great love you give me

You embrace my hollow heart, from which you release me

What a relief you give me

岩谷時子作詞 『海、その愛』より)