Smoky life in Rochester

Rochester大学にポスドク留学中の日記。膠原病専門。

表情筋の弛緩

木曜日はThanksgivingだったのですが、ボスがお家に招いてくれて色々とご馳走になりました。前回のラボメンバーが一同に集まったディナーは会話の展開が早くてあまりついていけなかったのですが、今回は私とPhD学生とボスの家族と、比較的こじんまりした会だったので、全体的に緩い雰囲気でした。夕食のあとはみんなでアメフトの試合をぼけーっと見ていました。。
もともと日本でもめちゃめちゃ喋るタイプではないのですが(良くも悪くも喋る相手を選ぶタイプです。嫌なやつですね。)、議論や会話のなかで意見を言ったり、相手の意見をパラフレーズして共通点を探ったりといったことは(職業柄というのもありますが)むしろ得意だという自己認識は持っていましたし、英語で学術的な議論を楽しむことはある程度できていました。ですが、こちらに来てからはさすがに発言の回数が減っています。会話のどこに入って、どういうリアクションをするか、というところに慣れていないので、どうしても会話を聞いている状態が続きやすいですし、質問をされても"Yes, I did."、"Ah, not yet."で自分のターンが終わってしまうということも結構あります。上で書いたように、もともとお喋り好きということもないので、それ自体はそんなにフラストレーションではないのですが、あまり会話に入らないと、もともと80%聞き取れていた内容が、60%, 50%と下がってしまい、やがて何の話をしているのかわからなくなる、という悪循環に陥ってしまいます。そういう意味では、(単語力や発音といった類の)英語力というよりは、英語話者の会話様式に慣れていくという意味でのスキルに向上の余地があるなと感じます。これもどこまで言語学的に正しい話なのかわかりませんが、英語話者はとにかく各自のターンでいっぱい喋るという印象があります。日本での会話はどちらかといえば、「〜って知ってる?」「知ってる」「〜って凄いよな」「どこが?」「たとえば・・・なところとか、」「あぁ確かに、そのへんは凄いと思うな」「あと、●●●なところとか」「いやぁ、それはどうかな」と、一言一言確認しながら進めていくのではないでしょうか。ラップバトルの世界と漫才の世界の違いでしょうか(適当)。
個人的に、(アジア系などの)非ネイティヴが中心のミーティングだとあまり難なく喋れるのが、ネイティヴ中心になるとなかなか喋れなくなる、というのもこうした会話様式の違いからくるのかなと感じます。まぁこうした様式に完全に順応したいというわけでもないのですが、なんとなくこうした観点を踏まえながら、自分なりに会話を楽しむ方法を模索したいと考えています。
と、こんなことを言っていますが、やはり基本的なリスニング、スピーキングもまだまだと感じます。特に、相手の言っていることを一生懸命聞きとろうとするあまり、顔面がこわばってしまい、凄い怖い顔で相手の言うことを聞いていることがあります。この、「聞き取らなきゃ!」という意識がそもそも過剰で、Yes/Noの返答を正しくしなきゃという義務感とリンクしている気がするんですよね。もちろん全部聞き取れるのがベストですが、多少聞き取れなかったとしてもご機嫌な顔して自分の話を続けてしまった方が良いのかもしれません。

ところで人見知りってどのレベルのことを言うんでしょう。たとえば自分の場合、1対1とか、1対2の場合は初対面でも割と問題なくお喋りができますが、大人数の立食パーティとかイベントとかになると、自分の一挙手一投足がみんなから見られている気がしてしまって、誰とも喋りたくなくなるというか、その場から立ち去りたくなります。実際、立食パーティ的なもので一瞬で外へ出て、参加したことを後悔したこと数百回です()。実は前者の、少人数のコミュニケーションにしても、自分はもともとだいぶ苦手だったので、20代後半ぐらいからかなり意識して修行したのですが、後者についてはどれだけ鍛錬を積んでもムリなものはムリとわかったのでもはや諦めています。立食パーティの場合は、知り合いを見つけてそこで固まるという裏技があり、それをやりたくなる誘惑は確かにあるのですが、特に学会などの場合は「ネットワーキングの場でそれをやったらダメでしょ」という規範意識がどこかにあるせいか、それすら避けてさっさと立ち去るというムーブを選択することが多いです。くだらないプライドですね。ちなみに学会の発表とかは、会場の人間が全員をイモだと思ってやっているので、あまり緊張しないことが多いです。これは自分でも説明しがたいのですが、そういう心のスイッチを入れて喋ることだけに集中すると、なぜか緊張がとれます。マイクパフォーマンスは上手なのにいざ話してみるとすごい人見知り、みたいな人は結構お見かけするので、こういう人はそんなに珍しくないんじゃないかと思います。ネットワーキングの場で自己アピールとか超大変なので、改めて学会で声をかけてくれたボスに感謝です。