Smoky life in Rochester

Rochester大学にポスドク留学中の日記。膠原病専門。

Ferrari

今日は仕事納めでした。仕事と言っても、論文読んで解析ソフトいじるのが主なので、納まった感はゼロですが。
先日、マウスの腹腔内注射のワークショップを受けまして、生まれて初めてマウスに触れました。もともと4人参加する予定だったのですが、全員ドタキャンした結果、私一人でマウス4体に注射させてもらいました。普通に怖かったですが、だんだん慣れてきてイメージは掴めたかと思います。これまた実際のマウス実験まで期間があくと忘れてしまいそうですが。

解析の方は期待していたような相関は得られませんでしたが、そもそも期待していなかったので何か新しい糸口がないかを検討しているところです。使っている測定キットの信頼性について結構論争があり、その論争も随分ごちゃごちゃしているので、2000年代の発見当初の論文まで遡ってみたり、同じように注目しているマーカーの妥当性についても2000年代〜2010年ぐらいの注目度が高かった時期の論文を読んだりしています。バイオ系の研究者がどういう論文の読み方をしているのかって全然知らない(そういう話もしないですよね)んですが、自分はわりとひと昔前の論文まで遡ってコンテクストを整理するのが好きなんですよね。免疫学って結局相当な部分が概念的な構築物なので、それぞれの概念がどういう歴史的経緯で注目され、定義されてきたのかを知ることが大事なのではないかと思っています。これは膠原病も結構そうで、現象としての症候群を疾患概念で囲っているものなので、歴史的コンテクストに依拠した理解をしないとなかなか生き生きとした知識につながりません。ところが医学生として膠原病を学ぶ場合には、診断基準や自己抗体を一生懸命暗記することになるので、その背後にある動的な概念形成への注目が薄れてしまうのですね。実習に来た学生にはなるべくそのような指導をしていましたが、これが結構伝えるのが大変でしたね。「法律を全部知らなくても、犯罪をせずに生きていくことができるよね?それと同じで、診断基準=法が全てではないですよ」とか言うとかえって混乱を招くという笑

 

クリスマスはThe Little Theaterで"Ferrari"を見ました。
チケット販売の窓口で、"A Ticket for Ferrari、please"と言ったのですが、"Ah? Which film did you say?"と聞き返され、「フェラーリ!」と言うもわかってもらえず、「フェラーリ!」「は?」「フェッラーリ!!」「あぁ?」「ffffフェッラーッリィ!!」「Oh, Ferrari.」とようやくわかってもらえましたが、一体何がまずかったのかわかりませんでした。

今をときめくアダム・ドライバーペネロペ・クルスがイタリアン英語を喋る映画で、会話が全然聞き取れなかったので、3日後に英語字幕ありの回で再見したのですが、2回目の方が満足度が高く、これは相当な傑作であると思いました。

思い出されるのはアームストロングの月面着陸を描いた『ファーストマン』で、あの映画は一見ロマンあふれるミッションを、組織の論理で無理をさせられた乗組員がバタバタと亡くなっていく陰惨な映画になっていて、ある意味でアメリカの歴史を相対化する映画でもあったわけですが、『フェラーリ』にもそうした側面が多分にあり、数年前の『フォード vs フェラーリ』のようなハリウッドらしい快活なレース映画とは真逆の、人類史の影を覗き込むような映画になっています。それでいながらめっちゃ面白いので、さすがマイケル・マン監督。彼としても『ヒート』以来のこれぞ!という作品になっているのではないでしょうか。日本で公開された際にはぜひ見てほしいですね。

 

あと、今まではマットレスを床に敷いて寝ていたのですが、先日ついにベッドフレームが届きました。玄関の前に置いてあったのですが、重すぎて階段を上がれず、その場で切り開いて、玄関と居間を何往復もしてパーツごとに運び、それを組み立てて、とやっていたらかなり疲れましたが、無事完成しました。

写真は完成品、ではなく、切り開いた段ボールの残骸ですw

よいお年を。